古来、日本には、ネガティブな意味を持つ言葉を、
ポジティブな意味を持つ言葉に換えて発音する
習慣があります。
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例えば、「あたり鉢（すり鉢）」。
これは「する＝減る」というネガティブな言葉を、
「あたる＝当たって増える」というポジティブな言葉に
換えて発音しているよい例です。
他にも、大根おろしを作るのに使う「すり金」を、
わざわざ「あたり金」と言い換えたりしています。
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それは方言にもあって、
広島県では「なくなる（切れる）」ことを、
「みてる（満てる）」と言うことがあります。
例えば、「醤油がなくなった」ということを、
「醤油がみてた（満てた）」と表現します。
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なぜでしょうか？
それは、ネガティブな言葉がネガティブな事象を
引き寄せるのを避けるためです。
言葉の意味がネガティブであればあるほど、
その言葉を発したときのエネルギーは大きく、
現実化しやすいとも言えます。
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人が発する言葉にはエネルギーがあると、
いにしえより信じられてきました。
言葉に宿る力。それが「言霊（ことだま）」です。
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言葉を書いたときと、発したときで、
そのエネルギーには違いがあります。
言葉を発したとき、
つまり声に出して空間を振動させたときのほうが、
エネルギーは、より高いものになります。
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このことはポジティブな言葉についても同じです。
よく「ありがとうと言いましょう」と
本や雑誌に書いてあるのは、このためです。
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「ありがとう」に限らず、「大好き」「うれしい」などの
ポジティブな言葉を声に出して伝える行為には、温かく、
穏やかなエネルギーを相手に伝える力があります。
ひとり言のように口にしても、よい効果が現れます。
（ただし、本当にそう思って口にしたときに限って）。
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こうした日本語の性質を最大限に利用したものが、
祝詞（のりと）です。
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とはいえ日常の生活の中で、ネガティブな言葉を
ポジティブな言葉にいちいち換えてゆくのは、
あまりにも無理があります。
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ただ、それを簡単にできることが一つだけあります。
それは、荒々しい言葉の使用を避けることです。
メディア発の「流行り言葉」には、
荒々しいエネルギーをまとったものが多いようです。
いま一度、そこを振り返ってみませんか？
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日本語に「男言葉・女言葉」があるのは、
男女、それぞれが持つ特有のエネルギーを有効に
利用するためでもあるのですから。